仕入れる前に、必ず工房を訪ねる理由
Jasper Lanternでは、棚に並べるものをすべて、小川が工房や農家を直接訪ねてから仕入れています。これは開店した2018年から変えていないことです。なぜそうしているのか、聞かれることがあるので、少し書いておきます。
問屋時代に感じていたこと
問屋の仕入れ担当として働いていた8年間、全国の作り手を訪ねる機会はたくさんありました。工房で話を聞くと、「なぜこの形にしたのか」「この釉薬はどこから来ているのか」「一日に何枚作れるのか」という話が自然に出てきます。
でも問屋の仕事では、その話を買い手に届ける場面がほとんどありませんでした。カタログのスペックと価格だけが伝わって、背景は消えてしまう。それがずっと引っかかっていました。
訪ねることで、何が変わるか
工房を訪ねると、カタログではわからないことがわかります。作業場の広さ、道具の古さ、作り手の手の様子。「この人が作っているから、この値段になる」という納得感が生まれます。
その納得感が、店頭での説明に出ます。「この小皿は、一人の職人が一日に10枚しか作れないんです」という話は、訪ねてみて初めてわかったことです。その話を聞いてから買ってくれたお客さんは、器の扱い方が少し変わる気がします。
訪問しないと決めていること
工房を訪ねても、仕入れないことがあります。ものはいいのに、作り手の話を聞いていて「この人は今、無理をしている」と感じるときです。注文が増えすぎて、品質が落ちてきているケースもあります。
Jasper Lanternの棚に並べるということは、お客さんに「これはいいものです」と伝えることです。自分が確信を持てないものは、並べないようにしています。結果として、取り扱いをやめた作り手もいます。
仕入れの方針は、これからも変えるつもりはありません。棚が18本のままでも、30人の作り手との関係を続けていくことのほうが、大事だと思っています。